□ワールド・ワイズ・ジャパン代表、LOGOSプロジェクト主幹・濱口理佳
■「大人の遊び」には「大人の良識」を
カジノを含む日本版IR実現への動きによる遊技業界への影響は、「ギャンブルと娯楽の差別化」をキーワードに避けがたいといわれてきた。これに伴い“風営法の順守”が差別化の要になっていたと記憶している。つまりグレーゾーンといわれるシステムのクリアや、過度に射幸心をあおらない営業の徹底だ。このことについては、将来的に遊技産業が持続可能な成長を遂げるために積極的に解決すべき課題といえ、ある意味、カジノ実現の動きの中での環境改善は、産業として健全な成長を遂げるために寄与するものと捉えることさえできた。
しかし、IR推進法案成立に向けた動きが加速したここ数年、遊技業界が対応すべきキーワードは、「依存」へとシフトした。これを踏まえ、行政は遊技への依存対策の一環として、「射幸性を抑える」方向での遊技機市場のシフトを促し、遊技機開発においても、数字の変化という目に見える形での仕様変更を求めた。一方業界は、機械以外でも、リカバリーサポート・ネットワークへの支援強化やパチンコ・パチスロアドバイザーの配置など、これまでの「のめり込み対策」を拡充させることを決め、粛々と対応を続けている。
その営業に関して風営法で厳しく規制されているパチンコ・パチスロが「依存対策」をキーワードにここまで厳しく規制されるとなれば、ギャンブルであるカジノは、それこそ遊技に対する以上の厳しい規制を社会から求められることになるだろう。現状でも、マイナンバーによる入場制限などが議論されているようだが、そんな規制だらけのカジノが期待通りの経済効果をもたらすのかも疑問だ。厳しい規制をよしとする「依存のひとり歩き」が、結果的にIR実現に向けた壁も高くしつつある。