日本ペイントホールディングス(HD)は14日、元執行役員の男性が塗料の設計データを流出させた事件に絡み、この男性が持ち出したデータを使って不正に塗料を製造しているとして、菊水化学工業(名古屋市)と男性に約9億6000万円の損害賠償と12製品の製造・販売の差し止めを求める訴訟を東京地裁に起こしたと発表した。
日本ペイントHDによると、男性はデータを菊水化学に漏洩(ろうえい)し、転職して常務に就任した。
昨年2月に不正競争防止法違反(営業秘密開示)の疑いで愛知県警に逮捕され、その後に起訴されている。事件を受け、菊水化学は住宅向け塗料など一部製品については昨年3月から販売を中止している。
日本ペイントHDの担当者は「市場での健全な競争関係を阻害する行為には断固として対応する」とコメント。一方、菊水化学の担当者は「訴状が届いておらず、コメントは差し控えたい」と話した。