東芝の半導体子会社「東芝メモリ」買収を目指している政府系ファンドの産業革新機構は14日、意思決定機関である産業革新委員会を開き、買収方針の正式決定を見送った。革新機構は日本政策投資銀行などと「日米韓連合」を組んでおり、早期に東芝と契約したい考え。ただ、連合に加わる韓国半導体大手SKハイニックスが議決権を譲らないことなどから決定は先延ばしされた。
革新機構の志賀俊之会長は同日、記者団に対し「最近の進捗(しんちょく)状況を説明した。できるだけ早く調印したいが、きょう特に決議したわけではない」と説明した。SKの議決権要求に対しては「融資にとどめる構図が変化するなら決議し直す必要がある」と述べた。
一方、15日には米ウエスタン・デジタル(WD)が、米カリフォルニア州の上級裁判所に売却の仮差し止めを求めた訴訟で、初の審問が行われる。同日中に裁定が出され、差し止め命令が下される可能性もあるが、志賀氏は「委員会では法的なリスクを回避できる条項があることを説明した。ただ、差し止めが出たら影響がないとはいえない」と述べた。