スキーやトレッキング用のポールなどを製造する「キザキ」(木崎秀臣社長、長野県小諸市)は10日、視覚に障害を持つ子供専用の安全つえ「白杖(はくじょう)」を、全国で初めて開発したと発表した。小さな体格の子供に合わせて開発された白杖はこれまでになく、子供は不便を強いられていた。(太田浩信)
白杖は、歩行の際に前方の路面を確認して安全かどうかを知る大切な道具。視覚障害者が公道を歩く際は、道路交通法で携行が義務付けられている。しかし、子供専用の白杖は製造されておらず、大人用の白杖の一部を切断するなどして長さを調整してきた。
利き腕の手首で扱うのが基本だが、大人用の白杖は筋力が弱い子供には重過ぎるうえ、グリップの形状も小さな手に合わなかった。このため、腕に負担がかかり疲れやすいことが、以前から指摘されていた。
木崎社長が福祉器具の専門家から子供専用の白杖がないことを聞いたのは3年前。白杖の製造実績はなかったが、「子供のために使いやすい白杖を作りたい」との思いが募り、県立長野、松本の両盲学校の意見を聞いて開発に乗り出した。