経営方針をめぐり、創業家の父と娘が対立した「お家騒動」に揺れた大塚家具。創業地の埼玉県春日部市で父娘対決の“第2ラウンド”が始まってから今月29日に1年を迎えるが、歩み寄りの兆しは見えない。「壮大な親子げんか」とも揶揄(やゆ)された対決の最終的な軍配はどちらに上がるのか。両者が火花を散らす最前線・春日部を訪れて探った。
従業員より少ない客
「あの呪縛から、もう逃れたい。新しい姿を見てほしい」
経営権を争った父娘対決の第1ラウンドに勝利した大塚家具の創業家長女の大塚久美子社長は騒動について、こう内心を吐露する。
だが春日部には、同社の創業者で父の大塚勝久前会長が設立した高級家具販売「匠大塚」の旗艦店「春日部本店」が昨年6月にオープン。数百メートル離れた場所には、大塚家具の「春日部ショールーム」があり、今もにらみ合いが続く。
春日部駅(東武伊勢崎線・野田線)東口より徒歩7分の匠大塚の旗艦店を今月の週末の午後訪ねると、来店客は10人余りと従業員よりも少なく店内は閑散としていた。
同店は西武春日部店の閉店跡に入居。7階建て建物の1~5階を使った売り場は約2万7000平方メートルと家具店としては国内最大級で、約1万8000点の家具が間取りをイメージしやすいよう余裕のある並べられ方をしている。勝久氏が大塚家具時代にこだわった会員制は採用されておらず入りやすい。ある男性客(65)は「頻繁に買い替えるわけでないから、良い家具をそろえたい」と熱心に品定めしていたが、国内外からえりすぐった100万円超の高級品が売りとあって、大にぎわいというわけにはいかないようだ。