3月期決算企業の株主総会が本格的に始まる。東京証券取引所によると最も集中するのが来週29日で東証上場3月期決算企業の約30%、次いで28日の18%、今週23日の16%となっている。
そんな今年の株主総会での一つの焦点は「相談役・顧問」の扱いだ。政府が9日に閣議決定した成長戦略「未来投資戦略2017」に、退任した社長兼最高経営責任者(CEO)が就任する相談役や顧問について「氏名、役職・地位、業務内容などを開示する制度を株式会社東京証券取引所において本年夏頃を目途に創設し、来年初頭を目途に実施する」とされた。社長OBが居座って、現役社長や取締役よりも強い権力を握り続ける日本企業の「慣行」にメスを入れようというわけだ。
これを先取りする形で、顧問や相談役を廃止する企業も出始めた。また、機関投資家に議決権行使をアドバイスする米国の助言会社は、企業が新たに定款に顧問や相談役などを設置する議案を出した場合には、反対するよう推奨している。
本格化する株主総会でも個人投資家などから、顧問や相談役の有無などについて質問が出ることが予想される。28日に大阪で開く武田薬品工業の株主総会では、長谷川閑史会長が取締役を退任して相談役に就くことになっているが、株主から相談役などを置く場合には株主総会で議決するよう求める株主提案が出されている。
総会で選ばれる社外取締役の中には経営者OBも多く含まれるが、社長や会長などを務めた「古巣」の相談役や顧問といった肩書を持ち続けている人が少なくない。こうした人たちの選任への賛成票の割合も減る可能性がある。