欠陥エアバッグのリコール(回収・無償修理)問題で業績が悪化したタカタが、経営再建に向け日米で法的整理に踏み切る。リコール費用をめぐり多額の債権放棄に応じざるを得ない取引先の自動車メーカーの意向を踏まえた措置だ。2008年に最初のリコールを届け出てから約9年。タカタのリコール問題は、日米での法的整理という形で一つの節目を迎える。ただ、欠陥の原因はいまだ不明確で、問題の収束にはほど遠い状況だ。(今井裕治)
問題が長期化しているのは、タカタ経営陣の対応のまずさだけでなく、事態の解決に及び腰だったホンダなど自動車メーカーにも責任の一端がある。製造物責任の観点からいえば、完成品に生じた不具合は自動車メーカーが負うべきだが、積極的な関与を行わなかった。自動車メーカーが車両に装着した部品は、メーカーの要求通りにタカタが製造し、供給したものだ。不具合があった場合、本来ならば完成車として販売したメーカーが、主体的に対応する必要がある。
だが、一連のタカタ問題では米道路交通安全局(NHTSA)がタカタに直接、対応を求めたため、自動車メーカーが矢面に立つことはなかった。自動車メーカーが“当事者”でなかったことが、原因究明を遅らせ、問題がずるずると長期化する一因になった。