旭硝子は23日、曲面形状をした車載ディスプレー用のカバーガラスを世界で初めて量産開始したと発表した。試験生産ラインのある京浜工場(横浜市鶴見区)に、新たな量産用のラインを導入、4月に本格生産を始めた。さらに生産能力が3.5~4倍ある2本目の量産ラインを追加し、2018年前半に稼働させることも決定した。
旭硝子が量産するカバーガラスは、車載ディスプレーの表面保護に使う。化学処理で強度を高めたほか、コーティングによって指紋がつきにくくしたり、光の反射を抑えて視認性を高めたりしてある。同社は平面形状のカバーガラスを生産する子会社、AGCディスプレイグラス米沢(山形県米沢市)を昨年4月に増強したばかり。今後は高級車を中心に、よりデザイン性の高い曲面ガラスのニーズも高まると予想、平面と曲面の双方で需要を取り込む。
自動車では、従来型のカーナビに加えて、走行情報などを車載ディスプレーに表示する車種が増加。米電気自動車(EV)メーカー、テスラの主力セダン「モデルS」に17型のディスプレーが搭載されるなど、画面の大型化も進んでいる。旭硝子では、スマートフォンの画面を保護するガラスで培ったノウハウを生かしつつ、いち早く量産体制を整えることで、米コーニングなどのライバルを引き離したい考えだ。
旭硝子は、25年のあるべき姿を描いた長期経営戦略の中で、モビリティーをエレクトロニクス、ライフサイエンスと並ぶ「戦略事業」と位置づけている。