東芝をめぐる2つの対立が経営再建の大きな壁になっている。2017年3月期決算では会計監査を担当するPwCあらた監査法人と対立し、適正意見が付かない会社側の試算値を15日に発表。半導体事業の売却では生産で協業する米ウエスタンデジタル(WD)と対立し、国際仲裁裁判所に売却の差し止めを申し立てられた。対立を抱えたまま前進する東芝に、市場の目は厳しさを増している。
適正意見なしの発表
「監査法人とは決算手続きで協調する」「(入札参加者に)東芝の主張の正当性を説明をして、手続きを進める」
15日の記者会見で綱川智社長はこう述べたが、監査法人やWDとの対立を打開するのは並大抵ではない。
東芝の適正意見なしの決算見通し発表は、16年4~12月期に続き2回連続。PwCあらたは東芝の米原発子会社の経営陣が破綻原因の巨額損失を以前から認識していたとの疑いを持つ一方、東芝は同経営陣が認識していた証拠はないと詳しい調査を拒み、対立した結果だ。
企業の決算は監査法人が適正だと意見を付けることで信頼性を保っている。東芝はPwCあらたと折り合いを付ける努力をするのが筋だが、この間、状況が変わらないばかりか、PwCあらたの担当会計士が監査作業から事実上離脱し、監査が一時止まっていた経緯もある。