東芝による半導体メモリー事業の売却手続きが難航している。合弁相手で他社への譲渡を認めない米ウエスタン・デジタル(WD)との対立が行く手を阻み、理想的な売却先と期待する日米連合にも課題が山積している。売却で2018年3月末の債務超過解消を目指す同社にとって、綱渡りの経営が続く。
東芝は4月1日に半導体メモリー事業を分社化して「東芝メモリ」を設立し、入札を進めている。売却先候補にはWDのほか、米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)や官民ファンドの産業革新機構から成る日米連合も残っている。19日に2次入札を締め切り、6月中に売却先を決める予定だ。
しかしWDは、売却が合弁契約に違反していると主張。東芝は、WDの同意が必要ないとする警告書簡を3日に送付して対抗した。
10日には、綱川智社長がWDのスティーブ・ミリガン最高経営責任者(CEO)と面会したものの、「ひたすら自分たちの主張をするだけ」(東芝幹部)に終わった。
WDは14日、売却差し止めを求める申立書を国際仲裁裁判所に提出、強硬手段に打って出た。東芝も、共同運営する四日市工場でWD社員の情報アクセスを16日にも遮断する予定で、対立は泥沼化する一方だ。