ソフトバンクグループが10日発表した平成29年3月期連結決算は、最終利益が前期比約3倍の1兆4263億円となり、初めて1兆円の大台を超えた。日本企業ではトヨタ自動車、三菱UFJフィナンシャル・グループに次ぎ3社目とみられる。本業のもうけを示す営業利益も12.9%増の1兆259億円となり、26年3月期以来の1兆円超えだった。売上高は0.2%増の8兆9010億円だった。
孫正義社長は「利益が1兆円を超えたという達成感はない。全くの通過点で、たかが数字だ」と豪語。その上で「来年も営業利益で1兆円を確実に突破する」と述べた。
フィンランドのゲーム大手スーパーセルや中国の電子商取引(EC)大手アリババの株式売却益が最終利益を押し上げた。孫社長も「実力値ではない」と、好業績が一時的な要因によることを認めた。
一方で孫社長は、営業利益の1兆円超えについては、国内通信事業に加え、傘下の米携帯電話大手スプリントの業績が大幅に伸びたことなどを理由に挙げた。孫社長は「多くの皆さんが重荷だといったが、いよいよスプリントが成長エンジンになってきた」と手応えを強調した。
また、孫社長は東芝の半導体事業買収について「いろいろと相談を受けているのは事実だ」と述べ、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業などからの協力要請を示唆した。ただ、巨額の投資継続が必要となるため「主体的に(買収を)やることはあまり考えられない」と慎重な姿勢を示した。(大坪玲央)