テンセントの現在の収益源は巨大なSNSのネットワークを活用したオンラインゲームや決済などのモバイルサービスで、トヨタの敵とは映らない。
しかし、テンセントの最近の投資戦略の矛先に目を向けると、景色は変わる。中国市場での自動車シェアビジネスで、世界大手ウーバーとの戦いに勝利した配車アプリの滴滴出行、EV(電気自動車)メーカーの蔚来汽車(NextEV)、位置情報サービスの北京四維図新科技(ナビインフォ)やヒア・インターナショナルなど、これらの出資先からは、まさにトヨタが目指す「未来のモビリティ社会」をにらんだ自動車市場への野心が透ける。そして、その野心をもっとも象徴したのが、3月に明らかになった米EV大手テスラへの出資だ。
ロイター通信などによると、テンセントは17億8000万ドル(約1960億円)を投じ、テスラ株5%を取得。テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)や投資会社フィデリティなどに次いで第5位の株主となった。テスラは、調達した資金を7月をめどに始める量産型EV「モデル3」の生産準備に充てるとされる。テンセントの取得株に議決権はないようだが、アナリストの間ではこの出資を機にテスラ車の中国での販売、さらには中国生産をテンセントが支援する可能性もあると、両社の連携を予想する見方が出ているという。