2017.5.1 12:00
ヘッドマウントディスプレーで自動車を眺められるソフト。VRが製造業に変革を起こそうとしている=24日、名古屋市【拡大】
VR(仮想現実)技術の利用は、今のところエンターテインメント業界が中心だが、今後は自動車製造などの産業分野や、教育に波及していくと予想される。包括的なITソリューションを提供するデルの日本法人(本社・川崎市)は、新しい時代のエンジニアや営業マンを支える高性能パソコン・ワークステーション(WS)を起爆剤にシェア拡大を目指す。
デルは24日、名古屋市でVRセミナーを開催。自動車製造関係の約30社、計約60人が熱心に聞き入った。デル最高技術責任者の黒田晴彦氏は基調講演で、VRとAR(拡張現実)の市場は2021年までに現在の20倍以上になると予測。「VR技術のわくわく感がエンジニアリングに改善意欲を、リテールに購買意欲をもたらす」と将来を見通す。
例えば、本物と見分けがつかないほどリアルな自動車のCGを360度から眺められるソフトがある。運転席のドアを開け、内装を覗くことも可能だ。自動車開発のエンジニアなら、デザインを仮想空間内で行い、模型を作り直す時間とコストを削減できる。セールスマンが使えば、販売店に置いていない車種を客に紹介することもできるだろう。
仮想空間内で実物大の建物を設計したり、重機の訓練をしたりする取り組みもある。ビジネス以外の分野では、米国の学校で、宇宙空間から天体の位置関係や大きさを学ぶのに活用されている。
こうした取り組みには高性能WSが不可欠だ。仮想空間のリアリティーはハードウェアのスペックに左右される。また、性能不足ゆえに頭の動きとCGにずれが生じると、車酔いに似た「VR酔い」になる恐れもある。「1995年頃のVRブームはすぐ下火になった」(黒田氏)背景にはコンピューターの能力不足があったという。
デルは高品質の製品で市場をけん引する青写真を描く。戦略の柱は「Dell Precision(プレシジョン)」のWSだ。クライアント・ソリューションズ統括本部担当技術営業部長の中島章氏は「デルはハードウェアを設計し、それを生かす技術を持っている」と述べ、プレシジョンの3つの特長を挙げた。
その3つとはメモリエラーを見つけ時間とサポート費用のロスを避ける独自技術「RMT」、自動的にアプリケーションを最適化しパフォーマンスを向上させるツール「DPO」、ドライバーを使わずに電源ユニットを取り外せるなどの扱いやすさを考慮した筐体の「スマートデザイン」だという。いずれも作業の効率化と生産性の向上を実現するために、なくてはならない要素だ。
中島氏は「プレシジョンは性能だけでなく、システムの安定性とサポート体制も充実している」と総合力においても優位性があると自信をのぞかせた。(提供:デル株式会社)