2017.4.11 06:03
信頼喪失で揺らぐ東芝【拡大】
経営再建中の東芝が11日、2016年4~12月期決算の発表期限を迎えた。経営破綻した米原子力子会社ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)をめぐる調査で、過去の損失処理を疑問視する監査法人と、ぎりぎりの調整を続けている。監査法人の適正意見を付けずに決算を開示することも検討している。
ただ、決算発表の再延期を回避できても、決算の信頼性に疑問符がつくことになれば、上場の維持が険しくなることにもなりそうだ。
監査法人が問題視するのは、WH幹部が米原発事業の損失を実態より少なくするよう部下に過度な圧力をかけた内部統制の不備だ。監査法人はWHに絡む会計処理が適切だったか過去にさかのぼって調査する必要があると指摘。WHが損失の可能性を以前から認識していたかが焦点になる。
関係者によると、監査法人は過去の決算も見直すべきだと主張する一方、東芝は適切に処理してきたと主張しており、協議が難航しているという。
東芝は2月14日、3月14日と2度にわたって決算発表を延期してきた。
東芝の不正会計の際に監査を担当した新日本監査法人は、金融庁から新規契約受注停止などの処分が科された。16年度からは後任にPwCあらた監査法人が起用されているが、会計監査の質に厳しい目が注がれる中、東芝に監査上の問題が再び発生することは許されず、同監査法人は慎重な監査を行っているとみられる。