日本郵便と、インターネットショッピングサイト「楽天市場」を運営する楽天は5日、再配達の削減に向けた連携強化を発表した。利用者が不在であっても楽天市場の商品を指定の場所に置けることや、初回の配達で受け取った利用者に楽天ポイントを付与することが柱で、年内に始める。再配達削減はネット通販市場の拡大に不可欠になっており、宅配業界だけでなく他の業界にも対策が広がっている。
日本郵便と楽天の再配達削減策は、コンビニエンスストアなど2万6千カ所で可能だった自宅以外の受け取り拠点に郵便局2万カ所を追加するほか、自宅の玄関前やガレージなど利用者が指定した場所に商品を置けるようにする。楽天のスマートフォンのアプリを通じて30分後に到着することを通知し、初回の配達で受け取った人には5~50ポイントの楽天ポイントを付与する。
楽天は、出店者向けに配送運賃を値下げすることや、宅配便最大手のヤマト運輸など他の宅配業者との連携も検討する。
ポイントの付与については、4月25日から9月末まで導入し、継続も検討する。平成27年に同じ取り組みを試験導入、実際に再配達が少なくなったという。
楽天は、アマゾンジャパンが自社倉庫の商品をヤマト運輸に配達してもらうビジネスモデルと違い、楽天市場の出店者が独自に宅配業者を選択して利用者に配送するため、再配達削減に向けた取り組みをほぼ出店者の判断に任せていた。
しかし、国内の物販全体の5%程度にとどまるネット通販を拡大していくために、楽天市場の商品の配送の大半を占めている日本郵便と連携を強化する方針に転換した。
国土交通省によると、再配達となる宅配便の割合は全体の約2割に上る。再配達削減をめぐっては、ヤマト運輸が受け付け締め切り時間を1時間前倒しするほか、大和ハウス工業は宅配ボックスを戸建て住宅に導入した。