東芝が2016年4~12月期決算を確定できず、経営の混迷が続いていることは銀行団の融資にも影響を与えそうだ。主力取引銀行の三井住友銀行、みずほ銀行、三井住友信託銀行は「最先端の技術を有する重要な企業」(首脳)と東芝を支え続ける考えだが、地方銀行の一部には融資引き揚げ検討の動きも出ている。上場廃止の懸念が強まる中、主力行が東芝を支えきれるかが再建の行方を左右しそうだ。
当面の山場は、主力行を中心に設定され、3月末に返済期限を迎える約2800億円の協調融資の行方だ。東芝は金融機関の融資の前提となる「財務制限条項」に抵触した状態が続いており、協調融資に参加している地銀の中では「株主に説明がつかない」(関係者)と融資継続への慎重姿勢が強まっている。一部地銀が融資から撤退すれば、4月以降の協調融資の枠組みの再構築を迫られる。
米原発子会社ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)への連邦破産法11条の適用も焦点だ。破産処理を行えば、債務保証に応じた追加損失が発生し、資金繰りの必要から追加の借り入れは避けられない。
主力行は融資枠の残高活用で、支援を継続する構えだが、主力行への依存が強まることが予想される。また、上場廃止に追い込まれれば、主力行もこれまで通り融資を継続できるかは不透明だ。決算を固められない東芝に対しては、主力行からも「いいかげんにまとめてよ」と不満の声が漏れるなど、銀行団の状況も変化しつつある。