台湾の鴻海精密工業と傘下のシャープが出資する液晶パネル製造会社、堺ディスプレイプロダクト(SDP、堺市)は1日、中国広東省広州市で液晶テレビなどに使う大型パネルを製造する新工場の起工式を開いた。事業の総投資額は610億元(約1兆円)に上り、2019年に完成する予定。
シャープの液晶技術を生かした次世代の超高精細な8Kの放送技術に対応した液晶テレビ向けパネルなどを生産し、反転攻勢を仕掛ける。
広州の新工場では「第10.5世代」と呼ばれる世界最大級のガラス基板を使い、優れた画質のパネルを効率的に製造。8Kは、既に販売されている高画質の4Kと比べ4倍の解像度を持つ。家庭用テレビだけでなく、医療現場や監視モニターなどにも応用し、需要を開拓する。
式典には、中国の次世代指導者の有力候補と目される広東省トップの胡春華同省共産党委員会書記も出席。広州市幹部は「改革・開放以来、広州で最大の最新製造業の投資プロジェクトだ」と歓迎した。鴻海の郭台銘会長は「鴻海はここ広東省で発展してきた」と強調。世界中の部品メーカーにも進出を促し、8K技術の一大拠点にする意気込みを示した。
シャープは、米国でも液晶パネルを製造する工場の建設に向けた大型投資を検討している。(広州 共同)