4月1日付で西川広人・副会長兼共同最高経営責任者(CEO)が社長兼CEOへ昇格する人事を日産は発表した。カルロス・ゴーン氏は社長兼CEOを返上し代表取締役会長に就く。
三菱自動車と電撃的な資本提携の結果、ルノー・日産アライアンスは、宿敵のトヨタ自動車と独フォルクスワーゲン(VW)を追い抜き、自動車業界のトップレベルの規模を狙えるところまできた。この人事の狙いは、三菱自の取り組みも含め、巨大なアライアンス体制をマネジメントできる、次のステップを踏んだと理解すべきだ。
さらに、日産の経営面でもいい節目である。現行の中期経営計画「日産パワー88」はこの3月で終了する。次期中期経営計画が5年程度の期間とすれば、その終わりをゴーン社長で見届けるには長期政権過ぎるだろう。新経営トップが計画立案に直接関わり、その結果責任を取るという意味でも、望むべき節目にあったのではないか。
日本人社長の西川体制となって、日産の経営方向が大きく変わるのだろうか。この機会にルノー支配を脱し、日産の独立を目指すべきだと国内業界関係者の声もあるが、それはまずありえない話だろう。西川社長兼CEOの経営体制下においても、日産の経営方針が大きく変化するものではない。ルノー・日産グループのより強固なアライアンスを推進するはずである。