「金貸しが金を貸さないで、どう商売するのか。目利きはいないのか。手数料ではなく、リスクを取ることに銀行の目が向かないと企業はうまくいかない」
麻生太郎財務相兼金融担当相は、1月4日の全国銀行協会の賀詞交換会で日本全国の銀行幹部を前にこうあいさつした。これは日本の金融当局の銀行に対する強い不満の表れであり、今後の金融の指導方針と銀行との対決姿勢を明確にしたものだ。
銀行には主に2つの大きな役割がある。一つは決済機能であり出入金や送金などお金の移動についてのインフラともいえる機能である。そして、もう一つが融資であり、必要な人や企業にお金を貸し出す機能である。しかし、現在の銀行の実態を見る限り、このどちらもが時代にそぐわない、または正常に機能しているとは思えない状態だ。
決済機能に関しては、コンビニエンスストアのATM(現金自動預払機)、クレジットカード、インターネットバンキングの普及により、銀行窓口の役割は大きく低下してしまった。また、少子高齢化と過疎化が進み、銀行の支店数と規模を維持できなくなっている。ネットバンキングなどシステムが遅れている地方金融機関があるがゆえに、都市銀行などの参入が難しく、それが都市と地方の決済機能の差を生み出している側面もある。