安倍晋三首相は3日、トヨタ自動車の豊田章男社長と東京都内で会談した。今月10日に予定されている日米首脳会談を前に、トランプ米大統領が「不公平だ」と批判する日米の自動車貿易などの対応策を協議したとみられる。会談には菅義偉官房長官も同席した。
首脳会談では自動車をめぐる協議が主要議題の一つになる見通し。「米国第一主義」を掲げ米国での雇用創出に取り組むトランプ氏は、日本車が米国で大きな販売シェアを維持する一方、米国車の日本販売が低迷を続ける現状を批判。1月23日には「日本の自動車貿易は公正ではない」と指弾した。ただ、日本は自動車に輸入関税を設けておらず、米国車の輸入に関税はない。日本車の対米輸出も2015年で160万台と、ピークから半減した。一方で日本メーカーの米国での現地生産台数は約385万台と30年前の10倍以上になり、現地で150万人もの雇用を生んでいる。トヨタも米国に構える10工場と1500の販売拠点で約13万6000人の従業員を雇うなど投資や雇用で貢献しており、安倍首相と豊田社長との会談では、トランプ氏の理解を得るための対策を練ったとみられる。
トヨタをめぐっては、トランプ氏が大統領就任前の1月6日にツイッターでトヨタのメキシコ工場建設に対し「米国に工場を造るか巨額の関税を払うかだ」と批判。これを受けトヨタは米国に今後5年間で100億ドル(約1.1兆円)の投資方針を表明していた。