夢の新薬といわれ、高額ながん治療薬「オプジーボ」の薬価が2月1日、50%引き下げられる。本来なら2018年4月に改定されるところだが、保険医療財政を圧迫するとの理由から、「緊急的な対応」として特例での引き下げが決められた。ただ、発売元の小野薬品工業では見込んでいた収益が得られないことになり、製薬業界も「新薬開発の意欲がそがれる」として反発している。
オプジーボは14年9月に悪性黒色腫(メラノーマ)の薬として発売され、患者数が470人程度と極めて少ないことから高額の薬価が認められた。その後、肺がんへの適用が決まり、対象患者が1万5000人へ大幅に増えたが、薬価は100ミリグラム約73万円を維持。標準的な患者1人が1年使うと3500万円かかるといわれる。
健康保険の財政が悪化するなか、厚生労働相の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)は、昨年11月の総会で引き下げを了承。当初25%の引き下げ率が提案されていたが、経済財政諮問会議の主導で50%に拡大された。米国は100ミリグラム約30万円、英国は約15万円と、内外価格差があることも理由となった。
特例の薬価引き下げに対し、製薬業界からは反発の声が渦巻く。薬価は原則として2年に1度改定される。オプジーボの場合、16年4月に改定があったばかりで、18年4月に見直される予定だった。緊急引き下げで小野薬品は17年3月期の業績予想の下方修正を余儀なくされた。