東芝融資継続に一部銀行難色 経営再建への疑念 “一枚岩”になれず

2017.1.19 05:49

東芝本社が入居するビル近くに掲げられた同社マーク=東京都港区
東芝本社が入居するビル近くに掲げられた同社マーク=東京都港区【拡大】

 米国の原発事業で巨額損失を計上する見通しになった東芝に対し、一部の取引銀行が融資を引き揚げる可能性が出てきたことが18日、分かった。主力行は2月末まで融資を継続する意向だが、東芝の経営再建についての疑念は銀行団で根強い。各行は23日が回答期限の融資継続の要請を慎重に検討しているが、不信感を抱く銀行団の“東芝離れ”が広がれば、深刻な危機に陥ることになる。

 東芝は、巨額損失の可能性が明らかになって以降、格付け会社による格下げが相次いだため、融資の前提となる「財務制限条項」に抵触する事態に発展。10日に銀行団と再建協議を本格的に開始した。

 三井住友、みずほ、三井住友信託の主力3行は、半導体事業が好調で、構造改革も進んでいることから要請に応じる考えを示した。

 他の銀行は23日までに回答することになっている。

 銀行団による東芝向けの融資残高は昨年9月末時点で約8000億円で、主力3行を含む大手行が半分を占める。主力行以外も要請に応じる見通しで、東芝は当面の危機は乗り越えられそうだ。

 ただ、金融筋の間では「一部の地銀が今後の融資に難色を示している」「融資を引き揚げたいという地銀も数行あるようだ」といった声も飛び交い、銀行団は決して“一枚岩”ではない状況だ。

 こうした中、東芝は主力のフラッシュメモリーを含む半導体事業の分社化を検討。「虎の子」の事業で自助努力をする姿勢を銀行団にアピールし、経営再建への理解を求める。

 ただ、一時的に危機を回避できても、その後も支援を受けるためには、追加のリストラなどさらに踏み込んだ対策が求められそうだ。

東芝、“虎の子”半導体を分社化検討 IPOで海外企業の買収攻勢にさらされるリスクも

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