タカタの欠陥エアバッグをめぐる問題は、検査データで不正をした元幹部3人が起訴される事態に発展した。不正の悪質さを指摘した米司法省に対し、タカタは自身の有罪を認めており、信頼がさらに失われるのは不可避だ。タカタは長期化する問題の一刻も早い収束を目指すが、信頼回復と再生への道は険しい。
「XXするしかない」「XXしてください」。米司法省の文書によると、タカタの元幹部3人らは、検査データの不正操作を「XX」という隠語を使って表現していた。3人らが社内でやりとりしていたという電子メールには、たびたび「XX」の文字が記され、不正操作が常態化していた様子がうかがえる。
2004年2月、05年の2~4月には、3人のうち1人が不正操作したことを報告するメールに対して、「XX(不正操作)するしかなかった」と他の人が同調する場面などがあった。05年6月頃には、1人が不正操作について「一緒に橋を渡るしかない」と他の2人に迫るケースもみられた。
司法省は動機について自動車メーカーをあざむいて危険なエアバッグを購入させ「タカタと自らを豊かにするため」と指摘し、組織の法令順守意識の希薄さを断罪した。
「問題解決への大きな一歩だ」。高田重久会長兼社長は14日に公表したコメントで、和解金の支払い合意は、経営再建に向けた動きとの認識を示した。ただ、元幹部3人が起訴されたにもかかわらず、記者会見を開かなかった。自動車メーカーの中には「信頼回復に向けて、もっとトップが表に出て説明すべきだ」(幹部)との不信感もある。