サムスンブランド回復遠く 李副会長の逮捕状請求検討で

 韓国最大の財閥、サムスングループの経営トップである李(イ)在鎔(ジェヨン)サムスン電子副会長が逮捕される事態となれば、サムスンの経営にも打撃を与えかねない。スマートフォン「ギャラクシーノート7」の相次ぐ発火事故で失墜したブランドの回復も遠のきそうだ。

 李副会長は病気療養中の李(イ)健煕(ゴンヒ)会長に代わって、実質的にグループの経営を指揮してきた。韓国経済に詳しいジェトロ・アジア経済研究所の安倍誠・東アジア研究グループ長は「中枢がいなくなることで、投資などの大きな意思決定ができなくなる」と語り、トップの“不在”で、サムスンの経営が停滞を余儀なくされる可能性を指摘した。

 サムスン電子が6日に発表した2016年12月期連結決算(速報値)は本業のもうけを示す営業利益が前期比11%増の29.2兆ウォン(約2兆8300億円)と、過去最高だった13年12月期に次ぐ高水準となった。世界シェア首位の記憶用半導体が業績を牽引(けんいん)したためで、ノート7の販売停止がなければ最高益に迫った可能性が高い。だが、ノート7の発火原因はいまだに解明されていない。安倍氏は「ブランド力がさらに低下する可能性がある」としている。(井田通人)