2017.1.6 18:07
5日、米ラスベガスで、無人運転技術の商業利用などの方針を表明した日産自動車のカルロス・ゴーン社長(ロイター)【拡大】
日産自動車は6日、ディー・エヌ・エー(DeNA)と提携し、無人運転技術の商業利用を目指す方針を発表した。カルロス・ゴーン社長が米ラスベガスで5日(現地時間)に講演し、表明した。あわせてDeNAは6日、自動運転タクシーの実用化を共同で進めていたベンチャー企業ZMP(東京)との提携を解消すると発表した。
ゴーン社長は講演で、「首都圏および地方都市で技術活用の検証を含めた実証実験を行う」と述べた。平成29年中に国家戦略特区で実証実験を始める。日産が自動運転車両を提供し、DeNAはインターネットを使ったサービスの設計や、連携する地方自治体との調整などを行うという。
DeNAはこれまで、ZMPと共同でロボットタクシー(東京)を設立し、事業化を進めてきた。提携解消の理由についてDeNAは「運営方針の違い」と説明した。自社技術にこだわるZMPと、早期の事業化に向け、幅広い技術を活用したいDeNAとの間で、折り合いがつかなかったもようだ。ロボットタクシーや商標などの扱いは、今後協議するという。
DeNAとZMPは、神奈川県藤沢市で実証実験を行うなど、約1年半にわたり事業化に取り組んできた。日産との提携という大きな方針転換により、事業化への影響も懸念される。
DeNAは6日の広報資料で、「32年までにビジネスモデルなどを検証する」とした。だが、ロボットタクシーでは「32年に3千台」の自動運転車両を走らせるとの構想を掲げており、実用化に向けた動きがやや減速した印象も受ける。DeNAは、実証実験の開始前に具体的な開発計画を公表するとしており、大手との協業による新たなメリットをいかに打ち出すかが注目される。(高橋寛次)