ゆうちょ銀行が申請している住宅ローンなど新規業務の認可について、高市早苗総務相は6日の閣議後会見で、「審査を加速する」と表明した。日銀のマイナス金利政策による低金利にあえぐ同社にとっては追い風だが、政府は事実上、ゆうちょ銀の議決権の過半数を握る。民間金融機関が「民業圧迫」と反発するのは必至で、麻生太郎金融担当相も慎重姿勢を崩していない。認可には曲折も予想される。
高市氏は会見で「(申請から)4年以上結論が出ないのは好ましくない」と、作業を急ぐように担当部局に指示したことを明らかにした。また、「申請時から状況も変わっており、ゆうちょ銀の考えをしっかり聞きたい」と強調した。
ゆうちょ銀の新規業務の認可をめぐっては、自民党の議員連盟が、貯金の限度額引き上げなどとともに、「平成28年度中に実施すること」を要望している。
一方で、民間金融機関を中心に慎重論も根強い。政府は親会社の日本郵政株の8割超を保有しているからだ。高市氏の発言を受け、銀行関係者は「政府の間接出資が残る中での業容拡大は、民業圧迫につながる」と警戒。これまで認可されなかった背景には、金融庁の反対もあったようだ。
麻生氏は2日の会見で、「(ゆうちょ銀に)審査・融資能力があるという話は聞いたことがない」と疑問を呈した。