サイバー防御 AIで進む自動化 IoTで標的多様化 人力では限界 (2/2ページ)

 人間がつくるソフトには必ずといっていいほど欠陥が存在し、サイバー犯罪者からの攻撃を受けるリスクを抱える。現在は技術者が欠陥の有無をチェックしているが、セキュリティー業界内からは「今や何にでもITが使われる。システムも複雑化しており、人力で対応するのには限界がある」(アナリスト)との声が漏れる。

 デロイトトーマツサイバーセキュリティ先端研究所の岩井博樹主任研究員は「以前はサーバーやネットワーク機器がよく狙われたが、ウェブカメラなどのIoT機器にも攻撃対象が広がっている」と話す。攻撃側でも自動化が進んでいるとし、対抗する必要性を訴える。

 まるでSFの世界のようだが、自動運転車も約10年前にDARPAが支援したのをきっかけに急速に開発が進んだ。今後、セキュリティー分野でも各国で開発競争が活発化するのは確実で、日本政府もサイバー攻撃対策にAIを活用する方針を掲げる。

 国立情報学研究所の高倉弘喜教授(情報学)は「AIは膨大なデータから、短時間で最も正解に近いものを探すことを得意としている。IoT機器はパソコンなどと比べてプログラムが簡単なので、2~3年後には実用化されるだろう」と予測していた。