商社や食品メーカーが栄養豊富な野菜の生産に力を入れている。低価格志向が広がる一方で、単価が高くても体に良い農作物を口にしたいと考える消費者の存在に商機を見いだしたい考えだ。
三井物産は15日、東京都内でポリフェノールの一種ケルセチンを多く含むタマネギを紹介するイベントを一般向けに開いた。がんや動脈硬化を予防する効果が期待できるといい、ケルセチン含有量、単価ともに通常のタマネギの約2倍。担当者は「多少高くても健康的な野菜を食べたい人は増えている」と話す。
北海道の農家に生産を委託しているこのタマネギの収穫量は2014年に100トン弱だったが、16年には300トンまで拡大した。スーパーや百貨店、食品メーカーへの卸売りを担う三井物産は、17年には1000トンに増やす計画だ。
自社でトマト栽培も手掛けるカゴメは、美容に効果があるといわれるリコピン成分が多いトマトの収穫量を増やしてきた。本格的にトマト販売を始めてから10年足らずで売り上げは約20倍に拡大。広報担当者は「ケチャップは基礎調味料なので大きくは伸びないが、トマトは成長余地がある」と説明する。
食品メーカーのサラダコスモ(岐阜県中津川市)は大豆が付いたモヤシを製造する。骨を丈夫にする働きのある大豆イソフラボンを豊富に含んでおり、価格は70円前後と高めだが、主力商品に成長しているという。