創業家と現経営陣の内紛が続く大戸屋ホールディングスの窪田健一社長が9日、都内で会見し、2020年までに海外店舗数を3月末比で約2倍の200店に増やす計画を明らかにした。少子化などで国内市場が伸び悩むなか、海外事業の強化などで業績の改善につなげる考えだ。だが、創業家との対立は膠着(こうちゃく)状態が続いており、内紛の長期化が業績に悪影響を及ぼすリスクは内包したままだ。
「前会長の行動は今でも肌身に染みついている」。窪田社長は会見で何度も事実上の創業者である三森久実前会長の名前を挙げた。
久実氏の妻とその長男との確執は、昨年7月に久実氏が急逝したことがきっかけだ。それだけに窪田社長は、店舗内調理など久実氏がこだわった経営理念の継承を強調し、現経営陣の正当性を暗に主張した。
対立が業績に与える影響についても窪田社長は「まったくない」と断言した。だが、内紛が表面化した5月以降、既存店売上高は9月まで5カ月連続でマイナス。10月も既存店客数は減少したもようで、業績の立て直しは“待ったなし”だ。
窪田社長が新たな成長の源泉にあげたのが海外事業だ。タイや中国など8カ国・地域で93店舗(3月末)を展開しているが、これを200店舗まで拡大。欧州進出も検討する。