三菱東京UFJ銀行が来夏にも、個人顧客の同意を得た上で、外部企業が口座情報などを活用できるようになる新たな仕組みを始める。先進的な金融サービス「フィンテック」の一種で、ネットショッピングでの支払いが簡単になるなど利便性の向上が期待できる。
個人の顧客情報を外部企業が使えるようにする取り組みが明らかになるのは、メガバンクでは三菱UFJ銀が初めて。同様の取り組みが他の大手行や地方銀行にも広がりそうだ。
現在の仕組みでは、インターネットの電子商取引(EC)サイトで買い物をして銀行口座から支払おうとすると、別にネットバンキングのサイトを立ち上げて振込先情報などの入力を求められる場合がある。
新たな仕組みではECサイトと口座情報が連携し、同サイト上で商品購入の手続きを終えることが可能になり、手間が省けるという。
銀行の顧客情報を厳格な管理の下で外部企業が活用しやすくする取り組みを「オープンAPI」と呼ぶ。金融業界では数多くのフィンテックの中でも注目されている技術で、欧米で取り組みが進んでいる。
三菱UFJ銀はIT関連など10社程度の企業と組み、個人向けサービスでのオープンAPIを始める。
これに先立ち、三菱UFJ銀は来春から法人の顧客情報の連携を始める。法人分野はみずほ銀行が既に開始し、三井住友銀行も来春にも始める方針だ。
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【用語解説】フィンテック
金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語。資金決済や送金、資産運用に加え、金融商品の開発などの分野で使われ始めた。日本では2015年ごろから注目されるようになった。政府も普及に向けて法整備を進めている。