経済産業省は28日、外国人観光客が指紋などの生体認証で本人確認を行い、現金を使わずに買い物や温泉などが利用できるシステム「おもてなしプラットフォーム」の実証実験を、10月から関東、関西、九州の3地域で開始すると発表した。2020年東京五輪を見据え、あらゆる機器がインターネットにつながる「モノのインターネット(IoT)」を活用し、訪日客の利便性向上につなげる。
訪日客が来日時に、指紋や手のひら(掌紋)などの生体情報とパスポートやクレジットカードなどの情報を登録すれば、宿泊手続きや買い物時の支払いがスムーズになる仕組みを、地域ごとに導入する。
関東では、神奈川県箱根町や湯河原町などの観光地で、指紋認証による決済を導入する。温泉施設や飲食店、旅館・ホテルのチェックインなど約100店舗で利用できる。
関西ではスマートフォンによる手のひら認証を使い、手をかざすだけで大阪市の水族館「海遊館」や隣接するショッピングモールなどで支払いができるようになる。九州では福岡市で行きたい場所や好みの情報を受け取ることができるサービスを行う。
同プラットフォームは、訪日客の氏名や住所などを共有化して管理するほか、消費動向などの分析も行う。ただ生体情報や信用情報などの取り扱いについては、個人情報保護上の課題があるため、経産省は実証実験を通じたルール整備を進める方針だ。