韓国ロッテグループの裏金疑惑をめぐり、日韓両国のロッテでトップを務める重光昭夫氏が26日、ソウル中央地検から逮捕状の請求を受けたことで、グループ内で創業家の求心力がさらに低下するのは必至だ。日本のロッテホールディングス(HD)はこれまで、重要な経営判断を創業家が担ってきた。一連の混乱を受け、検討していた株式上場やM&A(企業の合併・買収)など、重要な経営判断に狂いが生じる可能性も否定できない。
日本で昭夫氏と経営権を争う兄の宏之氏、創業者で父親の武雄氏にも捜査の手が及んでおり、創業家がけん引してきたロッテHDは大きな打撃を受ける。
ロッテHDは昭夫氏が主導する形で、グループの中核で製菓大手ロッテの株式上場を検討していたが、先行きは見通せない。すでに7月に予定されていた韓国側の事実上の持ち株会社であるホテルロッテの上場は無期延期が決まっている。
韓国では一連の疑惑を受け、グループの化学大手が計画していたM&A案件が頓挫した。日本でも重要な経営判断が遅れたり、できなくなる恐れがある。
ロッテは武雄氏が昭和23年に日本で創業。ガムやチョコレート、外食事業に進出し、プロ野球の球団経営にも携わる。今後の捜査の行方次第では、ブランドイメージがさらに傷つき、顧客離れが深刻化する懸念もはらんでいる。
ロッテHDは26日、「韓国で捜査が継続中であり、日本ロッテとしてコメントは差し控える」とした。