スマートフォン向けゲーム「ポケモンGO」などで注目を集めている拡張現実(AR)や仮想現実(VR)の技術が、ゲーム以外の分野にも広がり始めている。既に教育や観光などの分野では導入が進んでいるほか、新しいサービスも続々と登場しており、市場も飛躍的に拡大すると予測されている。
東京・表参道の路上で8月末、VRを利用して歴史を学習する「課外授業」が開かれた。KDDIが始めたプロジェクト「タイムトリップミュージアム」だ。
都内の中高生が参加。装着したゴーグル型のVR端末には360度の視界が広がり、関東大震災や太平洋戦争、戦後の復興を経て、若者文化が根付く過程が描かれる。目の前の街並みが100年間でどのように変わってきたかを、当時に戻ったかのような感覚を味わいながら体験できる仕組みだ。学校の担当者は「すぐに導入するには課題もあるが、世界史の学習など活用の道は多い」と期待する。
プロ野球の楽天イーグルスも打撃練習にVRを取り入れた。チームが持つデータを活用し、対戦相手の投手が投げるボールの軌道などを再現、実際に打席に立った感覚で繰り返しトレーニングできる。システムを開発したNTTデータは、米国などの海外チームにも売り込んでいくという。