創業130年の名門企業が不祥事に揺れている。カーペット製造大手の住江織物は米国子会社で不適切な会計処理が発覚し、今年6月に就任したばかりの新社長がわずか2カ月で退任する異例の事態となった。本来ならば終えているはずの平成28年5月期連結決算発表も2度延期され、現在も公表できないままだ。その一方で、不祥事によって注目されることになった住江織物は、戦艦大和の艦長室のカーペットを手掛けたほか、国会議事堂の赤絨毯(じゅうたん)を供給し続ける実績を持つ。実は国内では、名だたる建造物や建築物には無くてはならない由緒ある企業なのだ。(大島直之)
「戦艦大和」艦長室のカーペットに採用
8月30日に開かれた定時株主総会の冒頭、吉川一三会長兼社長(70)は「今回の事態で株主の皆さまにご心配おかけしたことをおわび申し上げます」と陳謝した。吉川社長は6月の役員異動で、いったんは川端省三前社長に社長職を引き継いだ。ただ、不適切会計が発覚した米国事業に川端氏が長く関わっていたことから、吉川社長が再登板することになった。
住江織物は現在の大阪市住吉区で創業し、歴史的に重要な建造物に絨毯やシート素材を提供してきた。