厚生年金と国民年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、企業の環境対応や社会問題への取り組みを投資評価の基準とする「ESG投資」に乗り出す。環境対応などに優れた銘柄で構成する新たな株価指数を作り、今年度中にも投資を始めたい考え。中長期的に企業価値が向上しそうな銘柄を選別し、運用収益の向上につなげる。
ESGは投資の観点として環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の3要素を重視する手法。財務情報だけでは測れないブランドイメージや社会的評価が中長期の企業価値に影響するとして、欧米の機関投資家を中心に普及しつつある。
GPIFは22日、ESG関連企業に特化した株価指数を作ってもらう企業の募集を開始。日本株で、ESG分野の取り組みを強化しつつ、中長期で市場平均を上回る収益などが期待できる銘柄を中心に選ぶ。今年度中にも運用を始め、利回り向上を目指す。GPIFは株式を重視する姿勢を強めており、2015年度は5兆円台の運用損失が生じたもようだ。15年度の運用実績は29日に発表する。