2016.7.21 05:00
アサヒビールの「アサヒドライゼロ」【拡大】
サントリーホールディングス(HD)が、ビール風味のノンアルコール飲料の製造に関する特許権を侵害されたとして、アサヒビールの主力商品「アサヒ ドライゼロ」の製造と販売の差し止めを求めた訴訟は20日、知財高裁(高部真規子裁判長)で和解が成立した。
両社は争いをやめ、サントリーHDが訴訟を、アサヒビールが特許庁への特許無効審判請求をそれぞれ取り下げる。
商品の製造・販売はこれまで通り続ける。両社とも「互譲の精神に基づく」とのコメントを出した。
一審東京地裁は「同業者なら容易に発明でき、サントリーHDの特許は審判で無効にされるべきだ」との判断を示し、アサヒビール勝訴の判決を言い渡し、サントリーHDが控訴していた。
ビール風味のノンアルコール飲料は、サントリービールの「オールフリー」と「アサヒ ドライゼロ」がシェア首位を争っている。
サントリーHDは2013年5月に特許を出願し、同年10月に登録。アサヒビールが13年9月にリニューアルした「アサヒ ドライゼロ」のエキス分や糖質の値が特許権を侵害していると主張していた。
和解後、サントリーHD広報部は「いたずらな紛争は望むところではない」とのコメントを公表。アサヒビールの伊藤義訓研究開発本部長は「何の制約もなく、今まで通りドライゼロの製造・販売を続けていく。和解には非常に納得している」と話した。