2016.6.4 07:11
壁一面に換気扇が設置された牛舎を紹介するパナソニック環境エンジニアリングの担当者=3日、栃木県大田原市【拡大】
パナソニックは3日、2018年度に畜産関連事業の売上高を15年度の約2倍の40億円とする目標を示した。牛舎内の温度や湿度を自動制御して牛の「夏ばて」を防ぎ、生産性を高めるシステムを本格的に売り出す。IT活用で労働力不足を解消し農業振興にもつなげたい考えだ。
新型のシステムでは、牛舎の壁一面に並べて設置した換気扇で外気を取り込み、反対側の壁の換気扇に風が吹き抜ける。センサーで牛舎内を見張って換気扇を制御し、温度や湿度を一定に保つ仕組みだ。
従来型の牛舎は、天井に換気扇があるため風が全体に行き渡らず、乳牛が暑さでストレスを感じて夏場の乳量が減ることが課題だった。約80頭で効果を試した宇都宮大の池口厚男教授によると、従来の牛舎に比べ1頭の生産量が1日当たり7キロほど増えた。1割以上の改善に相当するという。今後、鶏舎や豚舎にも導入できるよう改良する。
3日はパナソニック環境エンジニアリング(大阪府吹田市)の担当者が栃木県の牛舎で、涼しさをPRしたり、ロボットが自動で牛の乳を搾る様子を紹介したりした。