【講師のホンネ】グローバル社会での言葉の使い分け 岡部佳子 (1/2ページ)

2016.5.25 05:00

 留学生に日本のことを話していると、「日本人は何を言いたいのか分からない」と、よく指摘されます。日本には「察する文化」…気遣いがあり、はっきりと言わなくとも、相手が何を言いたいのかを察し合うことを美徳としています。しかし、イエス・ノーをはっきり言う外国人には、日本人の意図していることが伝わらないようです。

 ある留学生が、コンビニエンスストアでレジ打ちをしているときのこと。ガム1個なので、「袋に入れますか?」とお客さまに尋ねたところ「いいです」と返ってきたそうです。その瞬間、「入れてほしいのか、いれなくてよいの…?」と、とても戸惑ったと言います。一般的には「いれなくて、いいです」の意味ですが、彼らには「入れてください」とも取れるわけです。

 また、「どうも」という言葉は、日本人にとっては便利でよく使われがちなフレーズです。これは本来ならば「どうも」の後に状況を表す言葉が続きます。省略して使われている典型的な言葉ですね。「どうも」の後には、日本人同士ですと、その場の状況から何が言いたいのか相手にも分かります。ところが、外国人にはなんのことか、さっぱり? 分からないのだそうです。「日本人は、本音と建前を使い分けるから信用できない」と指摘されることもあります。確かに、ストレートに言ってしまうと相手に不快な思いをさせはしないかと、尻込みすることはあります。そして、気持ちと反対のことを言います。例えば、食事に誘われたときに行きたくないと思っても、最初から「行かない」とは言いません。一生懸命行けない理由を作ります。そして、柔らかい表現になるように「せっかくですが」とか、「申し訳ございませんが」などの「クッション言葉」を使います。相手への思いやりの気持ちを表す「クッション言葉」は日本の文化ですよと、留学生たちに教えると「日本人って面倒くさ~い」と大騒ぎです。それでも彼らは、受け入れて身に着けようと熱心に勉強しています。2020年には、東京オリンピックがあります。グローバル社会の一員となった今、われわれ日本人も外国人と接するときには、彼らのようにハッキリとものを言うといった使い分けも必要だと感じます。

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