破損したら2層目の切削刃が出現 大成建設が「多層チップビット」開発 (1/2ページ)

2016.5.25 05:00

トンネル工事で使用するシールドマシン。ゼネコン各社は、カッタービットの切削能力を維持する技術競争でしのぎを削る

トンネル工事で使用するシールドマシン。ゼネコン各社は、カッタービットの切削能力を維持する技術競争でしのぎを削る【拡大】

  • 開発した「多層チップビット」。1層目のチップが損傷しても内側にある2層目のチップが出現し、引き続き地盤の掘削が可能となる

【テクノNavi】

 玉石の多い礫(れき)層地盤のシールドトンネル工事ではカッタービット(刃)の損傷に伴う切削能力の低下が業界全体の課題だ。大成建設は丸和技研(福岡県直方市)と共同で、長寿命を実現したカッタービット「多層チップビット」を開発した。大成は刃の硬度を強くして割れ欠けを防ぐという発想を転換。切れなくなった先端を折り取れば、新品同様の切れ味となるカッターナイフの構造をヒントに製品化した。

 新技術は、損傷した刃の先端部分(チップ)がはがれ落ちると、内側から2層目の刃が出現。カッタービットの交換なしで長距離工事を可能にした。1層目のチップ形状は、従来品の「貼り付けタイプ」と「差し込みタイプ」の両方の利点を生かした「矢じりタイプ」とした。

 一般的なシールド工法では、チップに摩耗や欠損が生じた場合、カッタービットを交換するためだけに立坑を築造するなど手間がかかった。新技術なら交換作業が不要となり、工期の短縮化や立坑の構築費などのコストを削減できる。

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