2016.5.16 05:00
多言語対応のコールセンターを運営するランゲージワン(東京)は、外国人からの問い合わせに対応しなければならない企業や自治体から請け負う電話通訳サービスに力を入れている。
秋田県仙北市はことし2月、同社に事業委託し、英語と中国語、韓国語で観光情報を提供する外国語通訳コールセンターを開設。同市内のホテルや飲食店などで外国人の質問や要望が分からない場合にフリーダイヤルに電話すれば、同社の担当者が通訳して現場でのやりとりが円滑に進むようにする。九州や沖縄の自治体からも同様の依頼があるという。
同社は2015年4月の設立。「銀行の現金自動預払機(ATM)操作の仕方が分からない」「駅のコインロッカーを使いたい」「救急車を呼びたい」などと母国語で訴える外国人にホテルや鉄道会社などが対応できない場合に電話通訳を利用する。書面やメールのやりとりの翻訳業務なども手掛ける。
小山琢社長(57)は「訪日外国人が急増しており、特に東南アジア言語の需要が多い。地方自治体もインバウンド強化のために通訳を必要とするケースが増えている」と指摘。
「現在は約50人の通訳スタッフを、東京五輪が開かれる20年までには100人ほどに拡大したい」と意気込む。サービスによって異なるが英語、中国語、タイ語など計7言語に対応。ドイツ語やフランス語などヨーロッパの言語も強化していくという。
課題は人材の確保と育成だ。基本的には外国人は日本語検定1級を持つ人を採用している。音声だけでの通訳のため、高度な語学力が必要な上、やりとりを日本語で記録する能力も求められる。
今後は在宅勤務での通訳も視野に入れており、小山社長は「定年退職したシニア層や出勤が難しい子育て層で外国語を得意とする人の雇用を創出できる可能性がある」と話す。