【遊技産業の視点 Weekly View】低消費社会でのパチンコ産業 (1/2ページ)

2016.4.30 05:00

 □シークエンス取締役、LOGOSインテリジェンスフェロー・木村和史

 3月末にGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が運用実績の公表を当初の予定から後ろ倒しにし、参議院選挙後の7月29日にすると発表した。現政権発足後、GPIFはポートフォリオを見直し、レバレッジの高いハイリスク資産での運用比率を高めていたが、予想では5兆円程度の損失が見込まれているという。

 問題は、このような失態を誰が補填(ほてん)するのかだ。つまるところ、社会保障費の増大という名目で増税路線を歩み、国民の負担が増すことになる。無論、日本人は無頓着な人間ばかりでもない。若年層サラリーマンを中心にパチンコ離れどころか、消費という行為をしなくなっている。賃金も上がらないなかで、わずかに毎月、爪に火をともすように残った可処分所得は、将来の不安のため貯蓄に回っていた。しかし、ここでも政府は、「そうはさせじ」とマイナス金利を導入し、その爪すら奪おうとしている。こんな状況で普通に結婚などできるわけがない。これが現在の日本だ。

 この低消費化を背景に、パチンコを含めた小売りサービス業がとりわけ厳しいのは明白である。パチンコホール業界では300台クラスを基準に廃業や売却の話が頻出してきているが、結局は、さまざまな日本のマーケットが大手企業を中心に合従連衡、寡占化が進む中にあって、一部例外はあるにせよ中小法人数の多いパチンコホール市場も同じ道をたどることが示唆される。

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