日本郵政グループのかんぽ生命保険は27日、2016年度の資産運用方針を公表し、株式や外国債券などの「リスク資産」を全体の1割まで増やす考えを明らかにした。当初は17年度の達成を目指していたが、日銀の「マイナス金利政策」で利ざやが縮小する中、1年前倒しして昨年12月末の6.4%から一気に増やす。
「国内債を中心とする運用では通用しなくなった。非常に厳しい環境だが、運用体制改革のチャンスだ」
かんぽ生命の奈良知明執行役兼運用企画部長は、同日の説明会でこう打ち明けた。
昨年12月末時点のかんぽ生命の運用資産残高は約82兆6000億円と生保最大手の日本生命保険(約61兆4000億円)を大きく上回り、その7割強は日本国債や社債などの「公社債」だ。
日本生命は公社債の比率を全体の36.8%に抑えているが、かんぽ生命は長期国債を運用の柱に据え、安定して利ざやを稼いできた。
しかし、1月末に日銀が「マイナス金利政策」の導入を決めて以降、10年物までの国債利回りはマイナス圏に沈み、いくら予定利率を引き下げても利ざやを稼げなくなった。