経営再建中のシャープがまたもや独創的な商品を4月23日に発売する。蚊を吸い取る機能をつけた空気清浄機で、名付けて「蚊取空清」だ。台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業傘下に入ることが契約される直前の野心的な商品発表は意外性はあるが、実は、経営危機に陥る前から6年かけて開発した労作だ。目のつけどころのシャープらしさを支えてきたモノづくりの「ゆとり」が、徹底した成果主義で知られる鴻海の総帥、郭台銘会長のもとでどうなるか。消費者としては気になるところだ。(織田淳嗣)
創業者の遺伝子
「シャープには『人にマネされる商品を作れ』という創意の遺伝子があります」
3月17日、大阪市内で開かれた商品発表会見で、シャープ空調・PCI事業部の中島光雄事業部長は、創業者の早川徳次氏の言葉を引用した。
蚊取空清は昨年9月、ジカ熱やデング熱といった蚊が媒介する感染症が問題となっているマレーシアやタイなど6カ国で発売。この6カ国の空気清浄機市場が年間20~30万台で推移するなか、蚊取空清は半年で3万台弱を売り上げたヒット商品となっている。今回、日本でも感染症対策に関心が高まっていることから逆輸入することになった異例のパターンだ。