シャープが国内電機大手で初めて海外企業の傘下に入る。外資の日本企業に対するM&A(企業の合併・買収)はこれまで、大型案件では仏ルノーの日産自動車への資本参加のように“買い手”は主に欧米企業だった。シャープ買収を呼び水に、成長著しいアジア企業が日本の大手企業のブランドや技術を狙ってM&Aを加速させる可能性がある。
“アレルギー”が壁に
「104年の歴史を持つ企業(シャープ)が、なぜ台湾企業と提携するのか、と思う人がいるだろう」
鴻海精密工業の郭台銘会長は2日の記者会見でこう切り出し、「企業は国境のない事業体で、両社はともにグローバル企業だ」と続けた。大手企業がアジアの企業の傘下に入ることへの日本人の“アレルギー”を意識したとみられる。
「アジア企業への偏見が投資を呼び込む際の大きな壁になってきた」(早大ビジネススクールの長内厚准教授)という指摘もあるほどだ。