シャープが国内電機大手で初めて海外企業の傘下に入る。外資の日本企業に対するM&A(企業の合併・買収)はこれまで、大型案件では仏ルノーの日産自動車への資本参加のように“買い手”は主に欧米企業だった。シャープ買収を呼び水に、成長著しいアジア企業が日本の大手企業のブランドや技術を狙ってM&Aを加速させる可能性がある。(高橋寛次、橋本亮)
M&A助言のレコフによると、台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業のシャープ買収金額は3888億円で、アジア企業による日本企業へのM&Aでは過去最大。1985(昭和60)年以降の海外企業の日本企業に対するM&Aで9位に入った。
日本企業に対するM&Aは、件数ではすでにアジア企業が台頭しているが、金額の合計は大きくない。
昨年は、北米の企業が88件に対しアジア企業は77件で、総額になると北米の4015億円に対しアジアは2368億円と半分程度だった。財務省の集計では、海外企業がM&Aなどでの日本国内への投資額を示す対内直接投資残高は2014(平成26)年末で約23兆円。このうち、アジア企業からの投資は約15%にとどまっている。