2016.3.30 22:16
携帯電話とともに電力も販売するKDDIの「auショップ」=大阪市北区【拡大】
電力小売り全面自由化が4月1日に始まり、家庭も購入する電力会社を自由に選べるようになる。全国の大手電力10社による地域独占が崩れ、8兆円とされる家庭向け電力市場が開放される。都市ガスや通信といった異業種が新規参入するほか、大手電力もこれまでの地域の垣根を越えて販売を競い、値下げやサービスの向上が期待されている。
経済産業省によると、25日時点で266社が電力小売りに必要な登録を済ませた。中部電力などが首都圏での電力販売に乗り出す一方、東京電力が中部や関西地域に参入し、大手の越境販売も活発化している。
23日時点で新電力に切り替えた家庭は約33万件に達した。ただ、一般家庭の契約数(6260万件)の0.5%にとどまり、本格的な切り替えはこれからだ。
新電力への切り替えを管内別にみると東電が19万2千件で最も多いのに対し、中国電力は100件、沖縄電力はゼロ。新電力は需要の大きな首都圏をターゲットにするため、地方は自由化の恩恵を感じにくい。
一方、東電は30日、次世代電力計「スマートメーター」の設置が遅れ、4月1日に間に合わない世帯が17万件規模に達する、と発表した。作業員の確保などに遅れが出たためで、自由化へのスムーズな移行に課題を露呈した。
自由化後のコスト競争をにらみ、燃料費が安い石炭火力の新設計画が相次ぐ。温室効果ガスの削減と自由化をどう両立するのかなど、課題も残っている。