経済産業省は29日の有識者会議で、人が運転しなくても目的地にたどり着ける完全自動運転技術が確立した際、社会や産業にどんな影響が出るかを報告した。移動が一層自由になることで交通の便が悪い過疎地の活性化につながるほか、ハンドルから手を離した“ドライバー”を取り込む新たなビジネスも活発になりそうだ。ただ、運転関係の職種は失業が問題になるなど課題も浮き彫りになった。
自動車の運転を全て車両システムが行い、ドライバーが一切関与しない状況を前提に検討した。2030年までに技術的に可能にすることを目指している。他の先端技術でも同様の想定を行い、政府の成長戦略などに反映させたい考えだ。
自動運転車を使えば、足腰が悪くなった高齢者や免許を持たない人でも自由に動き回れる。国内に700万人程度いるとされる「買い物弱者」の利便性が高まることで、過疎化が進む中山間地の住環境が向上し、地方の人口流出に歯止めがかかることが期待される。