21日、都内では桜の開花宣言がされ、春の訪れとなった。季節の移り変わりとともに、食にも新たな流れが訪れそうだ。
ひと昔前までは珍しかったものが、認知が広がりブームとなり、やがて定着をすることは、どの業界においてもあることだろう。外食においては、たとえば「ジビエ料理」がある。飲食店情報検索サイト「ぐるなび」の、ジビエのシーズンである10月時点のデータを見てみると、ジビエ料理を掲載する飲食店は、2013~14年にかけて約2倍と大幅に増加。ユーザーが「ジビエ」を検索した回数も同期間で3.5倍となり、飲食店数、検索数ともに、その後の年も順調な増加を続けている。一部のグルメな人の冬の楽しみというイメージだったジビエ料理が一般にも広がり定着しつつある中、新しい肉食材に挑戦する飲食店が登場している。
ジビエと熟成肉に特化したレストラン「パンとサーカス」(東京都新宿区)では、ジビエ料理を気軽なバルメニューとして提供。「5年前、姉妹店のジビエ居酒屋オープン時にはまだジビエになじむ土壌ができていませんでした。シカやクマ、イノシシなど、今ではジビエとして定番のものも、当時はお客さまから、食べられるメニューが少ないといわれることもありました」と振り返るのは、同店を運営する宮下企画(同)のブランディング担当、宮下彗さん。徐々に受け入れられつつあった2年半前に同店をオープンし、今ではカラスやカンガルーなどの珍しい肉も提供している。宮下さんは、「ジビエの認知が広がり定着してきたことを実感している今、次の新しい食材を体験してもらう良い機会だと思い、食べ比べのコースを始めました」と話す。