□人力翻訳Gengo共同創業者・現CEO マシュー・ロメイン氏
マシュー・ロメイン氏は、7年前に、人力翻訳プラットホームのGengo(ゲンゴ、当時のサービス名はmyGengo)を共同で創業したメンバーの一人だ。ゲンゴは、日本屈指の成長速度を誇り、資金調達にも成功している。機械翻訳がビジネス利用には十分なレベルに達しない現状で、一文のキャッチコピーなど少量からの翻訳を手掛け、ビジネスのグローバル化に対応する。ゲンゴの人力翻訳の強みや、昨年の社内体制の変更についてロメイン氏に聞いた。
◆短文に適さぬ機械
--ゲンゴの特徴である少量からの文章翻訳はなぜ必要とされているのでしょう
「ゲンゴはクラウド型のプラットホームで、人力翻訳を提供します。世界のあらゆる地域に住む1万6000人の翻訳者が登録し、40程度の言語をカバーしています。一番人気があるのは日本語から英語への翻訳です。ソニーでエンジニアとして働いていたときに、英語を話せることが知れると、いろいろな翻訳の仕事を頼まれるようになりました。自分の仕事ではなかったし、私は翻訳がうまいわけでもありませんでした。この経験が起業のきっかけになりました」
--日本の会社ではよくあることですよね
「そうなんです! 小さな翻訳の仕事、例えばメール本文やブログへの投稿、ニュースやネット通販のサイトに載せる文章の翻訳を扱えるサイトを作りたいと思いました。翻訳したい文をフォームにコピー&ペーストしたら、価格がすぐに表示されて、数分で翻訳された文が返ってくるという仕組みです。多くの翻訳サービスは1ページに満たない文章については見積もりもしない。だから短文から取り扱えるサービスが重要なのです。彼らにとっては短文では仕事にならないのでしょう。でも、実際に私たちが翻訳したい文章は短いことが多いんです」