2016.3.5 05:00
□シークエンス取締役 LOGOSインテリジェンスフェロー・木村和史
■カジノ視点で捉えるぱちんこ
韓国で唯一、自国民も入場できる江原ランドカジノ。日本からも官民挙げての視察が相次いでいる。
その江原ランドカジノは半官とはいえ、コスダック上場の営利を追求する企業。だが現在、営利追求の半面、過剰なほど顧客管理と依存問題に配慮する様子がうかがえる。同カジノのオープン当時に周辺も含め闇金業者や質屋が横行し、破産者や自殺者を生んだ苦い経験は確実にベースとしてあるのだろう。
自国民が入場するカジノは、物見遊山で外国人が入場するカジノとは存在意義がまったく異なる。極論すれば慈善事業と営利事業との差ほどに乖離(かいり)している。前者を成立させるためには、ハード(機器・システム)、ソフト(依存症対策・ケア)両面での投資が必要だが、これは民間業者だけで賄えるレベルでは到底ない。それが、江原ランドカジノを視察したときの印象だ。
この意味で、日本が国内で自国民も対象にしたカジノを開設することを考えると、民間業者だけに運営を任せるのではなく、セキュリティーを含めた監視体制、依存症対策に向けた官民を挙げた真剣な取り組みが必要になる。これらを維持・継続するにあたりどこまで予算を投入し続けられるのか、政府が国家として同問題にどこまで真剣に向き合えるかが課題となる。このようにカジノ開設への課題は多くあり、ハードルは高く簡単な問題ではないことが指摘される。